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CS-Column no.314
トップリーグ世代の指揮官たち 伊藤護(國學院大学監督)

カテゴリ:國學院大学ラグビー部


 『トップリーグ世代の指揮官たち』第2回にご登場いただくのは、伊藤護(まもる)監督、36歳。2008年に32歳で引退するまで、社会人ラグビーの強豪中の強豪である東芝ブレイブルーパスの中心選手として、数々のタイトル獲得に貢献。日本代表でも16キャップを獲得した。まさに常勝とともに選手生活を過ごし「勝ち方を知る」男。

 そんな男を昨年、監督として招き入れた関東大学リーグ戦3部の國學院大学。「國學院」と聞けば、ラグビーファンはすぐに久我山や栃木と言った附属高校を思い浮かべるはずだが、大学としてのイメージをラグビーで思い浮かべることはほぼ皆無だろう。

 いかにして、伊藤は國學院ラグビーを「勝てるチーム」にしていこうとしているのか。そのカギはシンプルであるが難しい「ラグビーを楽しむ」ということだった。

本当のラグビーの楽しさ

「いいよ、いいよ。ナイスプレー、ナイスプレー。」
 激しい言葉が出るかと思い、近づいたミーティングの輪だったが、その予想は大きく外れた。
 この日は3部の国際武道大学とのオープン戦。昨年まで3部にいた國學院ではあるが、2部上位を目指すチームとしては、格下との対戦と言っても良かった。その相手に対し前半を終わって7−5。ところが伊藤は「〇〇のあの判断は良かったよ。そこからトライに繋げるには〜」とすべての指摘やアドバイスがポジティブなものだった。
 そこには、日本トップのチームであり、日本一「痛く激しい練習」をしていると言われる東芝にいたからこそ、知ることのできた本当の「ラグビーの楽しさ」。それを学生に知って欲しい、そんな想いからだった。

 

選手たちに求めていることはどんなことですか?ー

伊藤 やっぱりラグビーを楽しんでやってもらいたいんですよ。ええ。
もう楽しくやらないと。痛い苦しい思いをしてやってるわけですから、本当にそれだけじゃないんだと、それがあって初めて嬉しさに繋がるということを、また「ラグビーやって良かった」とわかってほしいですね。
 

前半終わってからのミーティングで良いプレーを挙げ1つ1つ褒めていたのが印象的でした。—

伊藤 ウチは、最初からやることができているチームじゃなくて、これからレベルアップしていかなくちゃいけないチームなので。今日のテーマは「ブレイクダウン」、それが前の試合できていなかったけど、そこを反省して課題として練習でやってきて、それができました。だからそれで「ナイスプレー」なんですよ。点数はどうであれ。

SH伊藤監督走る伊藤監督
引退して4年とはいえまだ36歳。グラウンド内を駆け回っていた。

 

選手と築く大人と大人の関係性

選手とは「大人と大人の関係性でありたい」と常々おっしゃっているようですね—

伊藤 この考えは薫田さん(真広:元東芝主将、元東芝監督、現日本代表アシスタントコーチ)が原点ですね。学生たちにも同じ事を伝えたいです。

 学生でも、もう大人なんですよ。子供じゃないので。大人と子供の関係は大人からの締め付けで、大人からすると簡単です。でも、そうすると選手は考えなくなりますから。
 大人と大人の会話を意識させる事によって、自分が口に出して話した言葉に責任感が生まれるようになるんです。

 


監督の学生時代とはだいぶ指導も違いますよね?—

伊藤 それは多分ね、昔の・・・というか時代時代の違いがあるんですよ。昔、我々の頃は上からガツンと言われて、「やらなきゃダメだ」と思ってやれてました。ライバルに負けたくないとか、先輩に殴られて「なにくそ」という意地でね。
でも今の子たちは言われたら考えて、プラスになるからやろうとか、マイナスになるかいいやと、そういう時代ですから「当たって砕けろ」的なものはないわけです。その考えが違うところでの話なので、難しいですよね。

 そしてこうも付け加えた。


伊藤 何のためにやるのかという「答え」を求めてきますからね。もちろん、それは良い悪いでは、もちろんありません。どっちも良い面と悪い面ありますから。今が悪いという教えは私たちは絶対にしません。

ミーティング伊藤監督
「頭ごなしに怒ったりはしません。まずは力を出し切ればいいんです。それでミスをしたらカバーするだけですから」

選手が漏らした不満

 今年のスローガンは「Oneself」。自分たちで盛り上げ、自分たちでチームを作るようにいう狙いが込められている。

 その効果は選手にも明らかに見て取れる。選手へのインタビューのさなか、1つ思いきって聞いてみた。「監督に何か不満はありますか?」。

 すると返ってきた言葉は「不満というか、みんながストイックなのか、もっとコンタクトするガチガチした練習をしたいという意見は出ています。」との答え。まさしく向上心の塊といえる言葉が淀みなく出てきた。これは決して「やらされている」練習ではなく「自分たちがしている」練習を積んでいることの裏付けだ。

 これを伊藤に伝えると、「本当ですか。嬉しいこというね、あいつら(笑)全然いいですよ。嬉しいですね、意欲を出してくれる言葉ってすごくいいですよね。ポジティブな発言を我々は求めてますし。」とこの日1番の笑顔を伊藤が見せた。

佐藤主将教仙(4年)
佐藤主将「ラグビーに取り組む姿勢、練習に取り組む気持ちなども根本から変わったと思います。」
教仙(伊藤と同じポジションで、チーム内のムードメーカー)「“周りからの盛り上げや雰囲気でチームがガラッと変わってしまう。試合に出ている15人だけでは勝てない”ということを監督に教えられました。」 

 

プラスαを付け加える

 監督の就任前からチームを見ている田中大雄コーチは「元からあった明るさに“自分かたちで考える”とか“ネガティブな発言はしない”という要素が加わった」と話し、選手は「楽しむの種類・意味が全然変わりました。昔はただ和気あいあいと楽しむという感じでしたけど、今は集中して練習をしてラグビー自体を楽しんでいます」と話した。

 一方で伊藤は國學院ラグビーをここまで育んできた土台の大切さも強調した。

伊藤 メディアの方とかは比べたがるんですよ。前の監督はどうで、今の監督はどうでとか。でもそうじゃなくて、前の監督に教えてもらったことに、プラスαを付け加えているんですよ。
 前の監督がこうだったから、新しい監督で良くなったとか、そういうのじゃないんですよ。前の監督がいたから下積み段階ができていて、今があるわけなので。國學院大学ラグビーが生まれてから今までの積み重ねで強くなってるんですから。

 もちろん監督が来て変わるところはありますよ。ありますけども、土台があってこその“足し算”なんですよ。

 対戦校への緻密な分析もその“足し算”の1つだ。

伊藤 うちは相手をかなり研究しますよ。1人1人の癖までね。 そうすることで選手たちもラグビーの引き出しが増えるんです。見方が監督目線で見てくれるんですよ。 同じ試合でも全然違うんです。わたしが「こういうところ!」というと、選手たちもそういう目線で見るようになるんですよね。そうしてまた引き出しが増えるんですよね。それだけなんですよ。

 ラグビーというスポーツは幅広く考えて、こういう場面ではこういう所もあって、こう広がるんだよとね。それを大ざっぱなことしかできなかった子たちに、細かい言葉を足しただけです。それだけです。そうやって考えていくと“ウェイトが必要だよね”とか“これが必要だね”と出てくるんですよ。

伊藤監督インタビュー
「父母会やOBの方々もウチは温かいですよ。いつも応援に来てくれますし、今年の菅平合宿もたくさん差し入れいただいて嬉しいですね。みんなが応援してくれるというのは素晴らしいことですから。」

 

1年1年が勝負

 環境面もまだ強豪校との差はある。練習場所は寮の近くにある相模原グラウンドとキャンパスに隣接するたまプラーザグラウンドを併用する形を取り、指導する伊藤そして田中(元高校日本代表)はどちらも現役時代はスクラムハーフ(SH)の選手で、FWを見ることのできるコーチはスポットコーチで、常にいるわけではない。

 伊藤監督と田中コーチ田中コーチ
伊藤とタッグを組む田中大雄コーチも元高校日本代表。3年前から國學院の指導にあたっている。
 

名SHを育てたい気持ちはやはり強いですか?ー

伊藤 うーん、あんまりそこだけを育てようとは思ってないです。やっぱりチーム全体を見ていかないと、チームは強くならないですから。特別扱いはしたくないですから。SHだからそれを生かした戦術というのはありますが、あくまでもバランス良くですね。


國學院のココを見てくれ!というのはありますか?ー

伊藤 うーん、そうですねえ。どこだろう?・・・悩んでいるということは全部ですね、ココ!と言うのはないです。


チームとしてはミーティングでも言っていたようにブレイクダウンですかね?ー

伊藤 そこはもう生命線ですからね。でも、そこを「見てくれ!」と言えないのは、まだなんですよ。東芝なら「泥臭いプレーとブレイクダウン」と言えますからね。そこまで達してないから、まだ言えないんだと思います。

ブレイクダウン
これから上位を目指す上でブレイクダウンは生命線となってくる

 そう語る伊藤ではあるが、チームは着実に進歩を遂げている。

 今季1部昇格した國學院は去季2部1位から順に対戦していくという過酷な日程。ところが2戦目に山梨学院大学相手に2点差の惜敗、そして4戦目の埼玉工業大学には47−17と2部の舞台でも徐々に結果はでてきている。

 「(4戦目にして初勝利し—)正直ホッとしました(笑)。 でもまだ“自分たちから崩して、トライを穫る”という楽しさはまだ感じさせてあげることはできていないと思います。もちろん勝つためには、タックルタックル、ブレイクダウンブレイクダウン、と練習でもアドバイスでもなってくるんですが、まずは“ラグビーの楽しさ”を教えないと。ダイナミックなラグビーをまだまだ目指しますよ。」と笑顔で語った。

伊藤 今季の目標については上位に入ることですね。まずは手の届くところからですね、8位スタート(2部昇格)スタートなので。今後という事ではもちろん1部に行きますよ。でも計画立てるような余裕はありません(笑)1年1年が勝負ですね。」

 チームはもちろん発展途上ではあるが、決して上を見すぎるわけではなく、それでいてポジティブな考えをチームに関わる全員が共有し、1歩1歩前へ進んでいる。何より印象的だったのが、選手1人1人が笑顔になる瞬間が非常に多く、その中心には監督・コーチがいることが多いことだった。

 この明るいチームに「常勝イズム」がどう染み渡っていくのか楽しみだ。

選手と監督たち
対話を重視する姿勢は練習後も。他愛もない話も時にはして、選手と盛り上がっていた。


写真:小沼和希、高木遊


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【writer】

高木 遊

【プロフィール】

1988年東京都生まれ。

東洋大学社会学部卒。

○趣味:スポーツ観戦、ラーメンを食べること、お笑い観賞

○好きなスポーツ:ほぼすべて。

○好きなスポーツチーム:オリックスバファローズ、日光アイスバックス、福岡サニックスブルース・・・など

○過去執筆原稿:東洋大学アイススケート部ホッケー部門 有終の美へ 東都大学野球2012春展望 など

○過去制作動画:國學院大学硬式野球部2012春 チーム紹介動画『いざ下克上』 アイスホッケー関東大学選手権決勝2012ハイライト など

○twitter:@you_the_ballad



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